2008年12月11日木曜日

京劇


 『京(ジング・ジイ)闽剧(ミン・ジイ/福州の地方劇)のチケットがあるのですが、ご覧になりませんか!』といわれて、『それでは、水曜日の晩に、「鳳凰劇場」で開催される、「京劇」を観させていただけますか!』ということで、一昨日、チケットを知人が我が家に二枚届けてくださいました。夕方7時半からの開演ということで、早めに到着しましたので、劇場の近くの食堂で、牛肉麺を食べて、劇場入りをしました。まだ3~4人しか見えていませんでしたが、開演近くには8割がたの観客が入場されて始まりました。北京の劇団が福州公演を行ったのです。

 この京劇は、清代に始まって、ほぼ二百年の歴史を持つ、いわば「中国オペラ」とも言われるものですが、起源につきましてはいくつかの説があるようです。といっても、はるか昔から、どこの国でも、人は歌ったり踊ったりしてきているのですから、各地方に伝わっている伝統芸能が、脚光を浴びて首都で演じられ、そこから全国展開していったに違いありません。地方の娯楽で始まった民間の劇が、市民に愛され、皇族や貴族にも愛好されていったのでしょうか。低迷し、消え去ろうとしていた時期を越えて、1980年の初期から息を吹き返してきたのだそうです。ですから、今回、家内とともに感激した「京劇」は、「祈念(中国語で表わす記念)改革開放30周年・福建省優秀劇節目展演」という行事の一環として、この12月、ここを会場に、さまざまな劇や雑技やコンサートが連夜催されているのです。



 この京劇には、多くの演目があるのですが、昨晩の「京劇折子戯専場(京据折子戏专场)」には舞台装置gたほとんどありませんで、実に簡素でした。目や手や脚の動き、声の抑揚などで表現する芸と技を見せることに専心しているのでしょうか。日本の歌舞伎にある「見得を切る」仕草があり、ある演目には、「隈取り」もあるようです。きっと歌舞伎に影響を与えているのでしょうし、相互に感化し合っているのかなとも思ったりしました。

 五年ほど前になりますが、四川省の成都に行きましたときに、案内していただいて「川劇」、四川省に伝わる地方劇を見せていただいたことがありますが、どちらも独特に中国文化を堪能させてくれました。今回観劇しながら、南信州で観た、「大鹿歌舞伎」を思い出していました。禁制の中、奥深い山村の唯一の娯楽芸能であった村歌舞伎を伝承してきた、「強かさ(したたかさ)」を感じさせられたのですが、きっと中国の地方劇もそんな、強かさを持ったものではないのだろうかと思わされたのです。


 

 芝居が跳ね、外に出ましたら、師走の月が輝いておりましたが、日本の年末とは大分趣が違っていて、まだ秋の気配が感じられました。中日両国の文化芸能の間には、まったく垣根がないのですから、心と心、過去と今、大陸と島国の間に、確固たる友好の橋が掛けられることを願わせれた、感謝な年の瀬の宵でありました。

(写真は、「京劇・風巻&バリ島移住できるかな計画2から」、歌舞伎役者「中村吉右衛門」、南信州の「大鹿歌舞伎」です)

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自己紹介

 次男に勧められて始めた「ブログ」ですが、2007年7月から1年間休刊しました。その間、他の「ブログ」を開設したのですが、2008年7月に、名前を変えて再開しました。  父として子どもたちに、爺として孫たちに、また母や兄弟や友人たちにも、何かを語り残したいと願って、続けています。