2007年5月31日木曜日

大海原を越えて


 玄界灘を越えて来るものがあります。昔は「遣唐使船」や「遣隋使船」ですが、この船は、大和朝廷からの親書を、献上品に添えて携えて来たのです。もしかしたら、いえきっと長安の都に学ぶ留学生たちへの家族からの手紙や、お母さんや愛妻や子からの日常用品などもあったに違いありません。

 「北国の春」と言う歌の歌詞の中に、都会に出た息子に、ふるさとの母親から送られた小包の一節がありますが、私たちにも、友人や弟や義妹や子どもたちから「小包」が、時々送られてきます。その中身を見て、一人一人の気持ちと思いとが、手にとるように、よく分かります。特に、4人の子供たちの贈り物の中身を見ると、4人四様の思いが込められていて実に興味深いものがあります。既婚者は既婚者のように、独身者は独身者のように、男の子は男の子のように、女の子は女の子のようにしてです。また、一人一人の性格が豊かに現わされているのには驚かされるのです。

 そういえば、留学中の子どもたちに、お金を振り込んだ記憶はあるのですが、あまり小包を送った覚えが無いのです。とくに、ポートランドの近くに、納豆でもやきんぴらごぼうでも、ほとんどの日本食材や製品を売る「宇和島屋」という店がありましたから、いつでも行く事ができて、日本よりも安く買えると思ったので、そんな理由から、小包の高い郵送料を考えてしまって、送らなったのだと思うのです。今、逆の立場になってみて、送られてくる小包が、こんなに心をときめかせて嬉しい物だと言う事が分かりましたので、『もっと送って上げればよかった!』と思うことしきりです。いえ、こう言って、みなさんに小包の催促をしているのではないのでご心配なさらないでください。

 昨年の9月に、天津の「伊勢丹」が、新装開店しました。この地下に食料品売り場がありまして、刺身とかこんにゃくとか納豆とか、ほとんどの物の品揃えがしてあります。ただ、とても高いのです。先日、どうしても招いた友人に、豚カツを揚げようとして、ソースを買ってきたのですが、1瓶51元でした。日本円に換算すると800円ほどになるでしょうか。日本で売っている物の5倍はするでしょうか。学校の食堂で、うどんを食べると3元もしませんから、驚きの値段です。でも、『美味しいです!』と喜んで食べてくれたので、値段には代えられないと思った次第です。

 私は、25の時に、天来の「贈り物(小包)」を受け取りました。まだ無くならないで、心の中で暖められております。思い出だけで残されているのではない、この「贈り物」を、ぜひ、中国の朋友のみなさんにも分けて上げたい思いで一杯なのであります。
(写真は、「玄界灘」、HP「acoustic touring」からです) 
 

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自己紹介

 次男に勧められて始めた「ブログ」ですが、2007年7月から1年間休刊しました。その間、他の「ブログ」を開設したのですが、2008年7月に、名前を変えて再開しました。  父として子どもたちに、爺として孫たちに、また母や兄弟や友人たちにも、何かを語り残したいと願って、続けています。