2007年5月5日土曜日

硬軟両面の均衡


 「隠れ・・・・」と言うことばがあるのですが、一時、私は身を潜めて、「隠れジャイアンツ・フアン」をしていました。なぜかと言いますと、巨人軍の選手獲得が、あまりにも金にものを言わせたものであったからなのです。そして、どこのチームでも、三番や四番を打てるバッターを並べ上げるに至っては、もう辟易とさせられました。 『巨人は金ではない。野球愛にあふれたチームなんだ!』と信じていたからです。

 ところが、私の眠っていた獅子を起こしたのは、好きだった藤田さんの告別式で読まれた1つの弔辞を知った時でした。『四番、バッター川上!』とアナウンスがあると、怒涛のような拍手が聞こえたのが、川上哲治元一塁手でした。苦楽を分け合った球友を送る、その川上さんのことばの中に、藤田さんが真の野球人で、妻子を愛する家庭の人で、ユニホームを着ても脱いでも「紳士」であったことを、『ありがとう!』の思いを込めて明かされたのです。改めて、そのことを思い出させられて、意気に感じた私は、「巨人軍フアン」であることを公言しようと決心したのです。

 阪神タイガースが、関西人の血を沸かすのはよく理解できます。でもジャイアンツ・フアンの血を沸かすのは、全く違うのです。沢村やスタルヒンや千葉や内藤や与那嶺や川上や藤田や長嶋に、連綿と引き継がれている、「巨人軍魂」なのではないでしょうか。それが何であったかをまとめ上げててくれたのが、川上元監督の藤田元投手への弔辞だったのではないでしょうか。

 テレビの試合中継が終わると、携帯ラジオに耳をつけて、試合の成り行きに一喜一憂していた親爺の寝姿を思い出すのです。それほどまでに惹きつけさせていたものが、何であったかも、改めて分かったことになります。

 あるとき、ニューヨークの学校から講師が来られて、研修会がもたれました。その謹厳実直そうな講師が、講義の合間にこう言いました。『英字新聞を読みたいので、買ってきて欲しいのですが!』とです。何か重大な事件がアメリカで起こったのかと思っていましたら、贔屓の「ヤンキース」の試合結果を知りたかったのです。彼の講義内容とヤンキースと、どの様な脈略があるかを考えたのですが、ありました。そう言った自由と言うのでしょうか、趣味の分野で開かれた心が、興味ある話を紡ぎ出すのだということが分かったのです。
 『硬軟両面の均衡が人には必要だ!』これが、彼の講義で学んだ、もう1つのことでした。
 あの中国の温家宝総理が野球好きだと知って、彼と握手したくなりました!
 (写真は、「XINHUA 新華社」によります)

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自己紹介

 次男に勧められて始めた「ブログ」ですが、2007年7月から1年間休刊しました。その間、他の「ブログ」を開設したのですが、2008年7月に、名前を変えて再開しました。  父として子どもたちに、爺として孫たちに、また母や兄弟や友人たちにも、何かを語り残したいと願って、続けています。