2008年8月23日土曜日

若い力に感動されられて

 

 オリンピックの北京大会が、もう明日は「閉幕式」になります。無事に終わりそうですから、胸をなぜ下ろしているところです。大好きになった福州に来て1つだけ残念だったのは、天津にいたら、競技観戦の機会があったかも知れないからなのです。昨年、天津の学校で教えてくれた先生たちが、福州行きに反対した1つの理由は、オリンピックから遠のくことだったのです。でも、北京の熱気は、夜遅くまでテレビ観戦をしているアパートの住民の『中国加油!』の掛け声と、『アッツ・・・ウッツ!』の叫び声で、十二分に感じることが出来ました。国を挙げて、こういった愛する自分たちの国のチームの活躍を熱烈に応援することは、開国以来始めてのことだったに違いありません。夜遅くまで、テレビで応援する隣人たちの祖国愛は、日本チームを応援した私のうちにも宿っているのです。ですが、自分の国が勝っこと、メダルを多く獲得するようにと願うのではありません。感動の足りない現代社会で、心を振るわせてくれる「スポーツマン・シップ」が観たかったのです。だから、どうしても『北京大会が成功裡に終わって欲しい!』と、心から願ったのです。

 全競技に、若い力の躍動が惜しみなく注ぎ出されて、勝つ者もあり、負ける者もある勝負の世界で、素晴らしいドラマを見るような場面がたくさんあったのではないでしょうか。若さっていいですね!あんな時代が自分にもあったことを思い出して、心を踊らせられるような気持ちにされてしまいました。勝てたのに負ける、負けるだろうと予想していたのに勝つ、そう言った番狂わせがあるので、スポーツには醍醐味があるようですね。「圧力(ヤー・リイ)」、精神的なプレッシャーが選手を押しつぶしたり、まったく圧力を感じないで自然体で競技に臨んだり、さまざまなのがいいですね。あの緊張感と弛緩、あの明るさと暗さ、あの笑いと涙、何ともいえないですね。


 

 今回、しっかり観戦したのが、日本と中国との女子サッカー(足球・・ズウ・チュウ)戦でした。日本チームの下向きなプレーに感動しました。正確なパスワークがあり、球への執着の強さがあり、相手のゴールへの執拗な攻めが見られたからです。監督がよかったのかも知れません。聞くところによりますと、佐々木監督は、「綾小路きみまろ」のCDを聞かせて、緊張を解くために苦心をしたのだそうです。勝つための技術指導だけではなく、心の世話や、「和」を大切にしたことになります。『監督と選手とが心を1つにしているな!』と言うのが強烈な印象でした。なぜ女子サッカー贔屓(ひいき)なのかといいますと、昨年、この「なでしこチーム」が、中国と戦って負けたときに、矢のようなブーイングや罵声を浴びたのもかかわらず、『謝謝!ありがとう!中国』の横断幕で、相手チームと観衆とに感謝を言い表したからです。これって出来るようで、なかなか出来ないことですね。アメリカに負けはしたのですが、爽やかな試合振りに、忘れかけていたスポーツの心が蘇させられ、何だか若くされたように感じてしまいました。



 ところで、中国チームに「韓端(ハン・トアン)」と言う番をつけたフォワードがいるのですが、実に素晴らしい選手なのです。日本戦では、ゴールの機会がありませんでしたが、アルゼンチン戦だったでしょうか、ゴールを決めたときに、ユニフォームの下に着ていた、紅いハートを手書きしたTシャツを見せていました。それは四川地震の被災者のみなさんへ捧げる「愛のゴール」だったことを、表明していたのです。ああいった舞台で、そういった激励や愛を表現できることは凄いことですね。大連の出身で、中国チームの看板選手で、ポイントケッターでもあります。



 勝っても負けても、爽やかさが残るプレーに、心が漱がれ、熱くされ、感動させられたのです。50年前の夏、中学生だった私は、バスケットボールの合宿でしごかれていたのを思い出します。あの合宿に先輩が差し入れしてくれて、毎食後に食べた、夏みかんの《酸っぱさ》が口の中から湧き上がってくるように感じられるほどです。実に、『酸っぱい(!?)の多い青春』でした。


(写真は、『謝謝!』の日本女子チーム、下は、中国チームの韓瑞選手です)



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自己紹介

 次男に勧められて始めた「ブログ」ですが、2007年7月から1年間休刊しました。その間、他の「ブログ」を開設したのですが、2008年7月に、名前を変えて再開しました。  父として子どもたちに、爺として孫たちに、また母や兄弟や友人たちにも、何かを語り残したいと願って、続けています。