2008年8月9日土曜日

「和」と「平和」とを目指して


 昨晩、友人が、『一緒にオリンピックの開会式を観ませんか!』と誘ってくれました。テレビを持たない私たちは、『観せてもらえるか、お願いしてみようか?』と思ったまでで言い出せませんでした。そんな私たちの思いが通じたのでしょうか、夕方になって、彼女が電話をくださったのです。それで、二つ返事をしましたら、7時前に車で、家にまで迎えに来てくださったのです。なんと感謝な友情ではないでしょうか。

 彼女の家に着きます、この秋から大学で英語教師として教え始める彼女の若い友人が迎えてくださって、暖かく接待してくださったのです。血液の濃度を薄くするという薬用茶、ニュージーランド製の珈琲、国産クッキー、葡萄とソルダムの果物、マカオからのお土産のチョコレート、このような「もなし付のテレビ観戦」でした。



 そうこうしていましたら、八月八日午後八時に15分ほど前からでしょうか、「開幕式」の放映が始まったのです。唐の時代の長安を「平安京」と呼び、この都が中国史上、最も栄えていたことは周知のことです。その輝きを遥かに凌いだのが、「鳥巣(二アオ・チャオ)」を主会場にした北京の町でした。そこを舞台に、「北京オリンピック大会」の開会式が始まったのです。コンピューターを駆使した映像と光と色彩と大道具・小道具や楽器、おびただしい数のボランティアが、中国四千年の時代絵巻を繰り広げたのです。中華文明の四大発明の「紙」、「羅針盤」、「火薬」、「活版印刷機」を絵巻の中に描き出し、孔子の論語、陳和の大航海、京劇、伝統的な人形劇、楽曲の演奏、踊り、中国と英国の有名な歌手のデュエットや子どもたちの歌唱、55の少数民族(漢族を加えて56部族)から選ばれた子どもたちの合唱、世界中の子どもたちの顔写真、等等、それはそれは眼を見張り奪われるような一大絵巻でした。


 

 中国が大きな変化と躍進を遂げていく序曲のように、素晴らしい3時間ほどの式だったと思います。次の時代の中国を、この悠久の歴史の延長線上に築き上げていくために、とくに子どもたちや青年たちに、自国愛や夢を提供したことは、画期的なことだったと思うのです。「眠れる獅子(清代の中国をそう表現したのです)」と言われ続けてきた中国が、多くのところを通りながら、実に世界に類を見ないような卓越した文化・文明の上に立ち、内蔵している力や可能性を再確認したことでしょう。そのために、みなぎるような若さで演じ、力の限り奉仕し、全国津々浦々で、この絵巻をご覧になられたみなさんの「大きな感動」が伝わって来るようでした。また、中国の偉大さを世界に向けて宣伝したと言うよりも、中国と中国国民が内に宿している能力や内的資源、さらには将来の可能性を、この機会を得て、『世界のみなさんに改めて観て、知っていただきたい!』と願ったに違いないのです。



 あんなに明るく光り輝いた北京は、有史以来、2008年8月8日午後8時になって初めてみることが出来たに違いありません。その明るさが、これからの中国の町々の模型でもあるかのように感じられ、これからの中国が、いや増し増して、『光輝く国家となって行くに違いない!』と確信させられたのです。中国に来た客人(私たちのことです)をもてなそうとして、大きな犠牲を払って下さった朋友愛に心から感謝しました。まるで北京にいるかのような錯覚に陥るほどでした。この大絵巻の鑑賞と友人のもてなしに、身も胃袋も眼も耳も心も傾けて、満たされてしまいました。



 この開幕式を演出したのは、中国映画界の第一人者の劉芸謀(刘艺谟)氏でした。いつでしたか私たちの住んでいた街にかかて観に行った、高倉健主演の「単騎、千里を走る」を製作された監督なのです。とくに「紅いコーリャン」は、高く評価された彼の代表作品です。今回、実に素晴らしいお仕事をされたと思います。その演出を通して、この時代の中国の若いみなさんの思いの中に刻まれたのは、ただ映像や音や色彩だけではなく、「夢」が解き放たれたのだと思うのです。彼らが自信を持って、素晴らしい国を構築していかれることを願って止みません。大競技場「鳥巣」から羽ばたく「平和」の象徴・ハトの映像が映し出され、また活版印刷の演目の中に、「和」がありました。まさに「和」と「平和」を希求していく国が、『空高く飛翔していくのだ!』と確信させられたのです。


 「奥運会」、これが新しい中国の大きな牽引力となることを、切に願うのです。まだまだの日本が、1964年の「東京オリンピック大会」を契機に、大きく変わり、飛躍して行ったのを実感しておりますので、中国の国家と国民のみなさんが、大きな自信と確信と使命感とをもたれて、アジア諸国のさまざまな問題の解決や近代化への牽引車のような役割を果たされることを願い、またこの二週間の大会の無事を祈念しております。中国の入場の折、旗手の姚明の左に見えた少年を覚えておいででしょうか。小旗を振っていました。彼は、四川省の地震災害地で、5人の友人を助けたのだそうです。その援助活動に励まされた委員会が、彼を招聘したのです。「いのち」の重さも、今回の大きな自然災害の後に、発信された「中国国民の思い」に違いありません。

 加油中国!奥運会成功!

(写真は、新華社のHP からです)

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自己紹介

 次男に勧められて始めた「ブログ」ですが、2007年7月から1年間休刊しました。その間、他の「ブログ」を開設したのですが、2008年7月に、名前を変えて再開しました。  父として子どもたちに、爺として孫たちに、また母や兄弟や友人たちにも、何かを語り残したいと願って、続けています。