2009年4月19日日曜日

『ピチピチ チャプチャプ ランランラン!』


 先週、授業のときに、『あめあめふれふれ、母さんが 蛇の目でお迎え、うれしいな・・・』を歌ってしまいました。篠つくような雨の中を出勤した私は、北原白秋作詞、中山新平作曲の「あめふり」を披露したわけです。歌っていて、小学校のころの光景を思い出してしまいました。涙はこぼれませんでしたが、歌い終わりましたら、万雷の拍手がありました。日本の「梅雨」は、六月から七月頃ですから、一足も二足も早いのですが、ここ福州の雨を、日本で生活をしたことのある知人たちは、「梅雨」と呼んでいます。本来、「梅雨」は、揚子江を境に、北の気団と南からの湿気を帯びた暖かな気団が、長江上空でぶつかり合って、「梅雨前線」を発生させて、朝鮮半島や日本列島に、雨をもたらすのですが。こちらの今頃の雨も、やはり、日本の「梅雨」に感じが似ていて、同じ漢字で表記しますが、「黴雨(中国語では《霉雨meiyuメイ・イ》」と書いて、黴の生えやすい時期であることを言い表しています。実によく降りますが、それでも,『ピシッ!』と止んでは降るを繰り返しています。去年も、この時期を、こちらで過ごしているのですが、『こんなに雨が降ったかな?』と思ったりで、季節の移ろいを余裕をもって感じられるようになってきたのでしょうか。

 さて、歌ですが、『・・・・ピチピチ チャプチャプ ランランラン!』と続けたので。これは擬声語ですが、説明が難しいのです。身振り手振りをしましたら、みんなは分かったのでしょうか、頷いてくれました。この擬声語は、日本の国語の中には多くあって、わが国語の一大特徴かも知れませんね。人や動物や自然が、動いたり発したりする様子を、『きっと、こうだろう、そうだろう!』と思っては、ことばで表現するのですから、とても興味深いものです。雨を歌った歌の多くが、悲しくて切なくてやるせないのですが、この歌は違います。蛇の目を持って迎えに来てくれたお母さんがうれしくて、この子は『ランランラン』と、ホップしながら鼻歌を歌って喜んでいるのでしょうか。お母さんが忙しくない、いつも家にいてくれ、登校時には見送り、家に帰ると出迎え、急に雨が降ると、わざわざ傘を持って学校まで迎えに来てくれるのですね。そういえば、この歌は、母が八歳の頃(大正14年)に発表されているのですから、そんな悠長な時代だったのです。

 昔のお母さんは、化粧していませんでしたね。割烹着(白い木綿の生地で出来た料理用の上っ張り)を着て、下駄を履いて、買い物籠を下げていたと思います。家事や子育てに専念できた時代だったわけです。やっぱり、子どもたちにとってはいい時代だったわけで、情緒の豊かな人に育ったに違いありません。うーん、物の豊かさよりも、心の豊かな、そんな時代はもうやってこないのでしょうね、とても残念ですが。




(写真は、「あずさ屋(長野県喬木村)」で、蛇の目の傘を作成しているところ。下は、完成品です)

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自己紹介

 次男に勧められて始めた「ブログ」ですが、2007年7月から1年間休刊しました。その間、他の「ブログ」を開設したのですが、2008年7月に、名前を変えて再開しました。  父として子どもたちに、爺として孫たちに、また母や兄弟や友人たちにも、何かを語り残したいと願って、続けています。