2009年4月8日水曜日

『な、そうだろう!』


 家の近くにコピー屋さんが数軒ありますが、週に何度もお願いする私は、まあまあのお得意さんなのでしょうか。以前は、一枚が1.5毛でしたが、最近は2毛に値上がりしています。師範大学の構内にある店では、1.2毛ほどになりますが、便利な近場を利用しているこのごろです。2毛と言いますと3円ほどになるのですが、日本のコンビニの1枚10円に比べますとだいぶ安く感じられますが、こちらの物価を考えますと、やはり高いのかも知れません。三日ほど前に、いつもの店とは反対方向の150mほどの外国語語言学院の近くの店で、53枚のコピーをお願いしました。10元6毛でした。20元札と6毛を渡しましたら、15元のおつりをくれたようです。確かめずに、ポケットの中にねじ込んだのですが、やはり、つり銭が多過ぎでした。『儲かった!』とは思わなかったのですが、あまり考えないで、『まあいいか!』と思いながら家に帰ってきたのですが、そのつり銭が気になってならないのです。迷っているうちに、心の中に平安が無くなってくるではありませんか。5元ですから、70円ちょっとで、牛肉入りの米粉麺を一杯食べられる一食分の値段なわけです。いたたまれなくなって、家内に一言言って、その店に、とって返しました。こちらで「板番(ラオ・バン」と呼ばれる店主に、『つり銭が多すぎたよ!』と言って説明して返金したのです。

 値段を高くされ、つり銭を少なくされるのは、天津でもそうでしたが、ここ福州でもちょくちょくあります。どうしても韓国人か日本人にしか見えない私たちは「外国人」ですから、《外国人価格》があるのでしょうか、ネギを背負った「カモ」の到来に、『しめた!』と思うのでしょうか、そういうことが多くあるのです。そうされますと、決まって『過去の日本が、この国で搾取したんだから、子孫同士が立場の逆転で、そうされてもまあ仕方ないか!』と思うのです。また、『いやな思いをしないですむから、次からは、スーパーに行こう!』と思ったりするのですが、やはり通り道の小商店で買い物をしてしまいます。人のよさそうに見える家内は、しばしばのことですが。

 でもそれとこれとは違うのです。『だまされることが多いのだから、つり銭の間違いが一度くらいあってもいいか!』と言う論理が、思いの中に立ち上がってきたのは事実です。でも、置忘れたり、落としてある財布の中からお金を取って、自分のポケットに入れると、それは「窃盗犯罪」になるのですね。立件されて処罰された名ある人のニュースを何度も聞いていました。それよりも何よりも、『盗んではいけない・・・だましてはいけない。』という声が、こだましてきたのです。その店で説明していたら、板番の娘が覗き込んでいました。5元を返して、受け取った彼は、『謝謝!』とにっこり笑って意外な出来事に感謝をあらわしたのです。でも感謝はこちらがすべきことでした。

 昔なら、『もうかった!』と思うのは当たり前で、万引きを繰り返した窃盗小学生の過去あるわが身ですから、髪の毛が白くなって再び、同じ轍(わだち)の中にはまりそうな中から救出されて、ホットしたのです。『石川や浜の真砂に尽きぬとも、世に盗人の種は尽きまじ』と、五右衛門が辞世の句を詠んだと言われますが、もう少しで彼に、『な、そうだろう!』と言われそうでした。桜満開の北日本のニュースを聞いた、福州の4月の初旬であります。

(写真は、京の三条大橋で釜ゆでになった「石川五右衛門」の錦絵です。写真を右クリックしますと大きく見られます。)

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自己紹介

 次男に勧められて始めた「ブログ」ですが、2007年7月から1年間休刊しました。その間、他の「ブログ」を開設したのですが、2008年7月に、名前を変えて再開しました。  父として子どもたちに、爺として孫たちに、また母や兄弟や友人たちにも、何かを語り残したいと願って、続けています。