2008年11月30日日曜日

母の忠告のことば


 アメリカ合衆国は、1776年に東部13の植民地が、英国の支配から独立して建国された、230年ほどの浅い歴史の国です。何度か訪問させていただいて見たアメリカは、「アメリカン・ドリーム」を感じさせてくれる、素晴らしい国だと思わされたのです。次女の卒業式に出席した後、次女と共に学んでいた長女と3人で旅行をしたことがありました。オレゴンからワシントン州、アイダホ州、モンタナ州、ワイオミング州と車を走らせて、イエローストーンまで行き、帰りも同じ道順で戻りました。実は、アメリカ映画”River runs through it ”の舞台になっていたのが、モンタナのミズーラという街でした。映像に描かれた風景の美しさに魅せられた私は、『一度でいいからモンタナに行ってみたい!』と思っていたのです。その映画は、ミズーラを舞台にし、シカゴの大学の教授であった兄が、職を辞した後に、故郷での家庭生活、弟や仲間たちとの交わりを回顧する物語でした。厳しく育てる父親の背後で、いたずらを働く兄弟が面白く描かれていました。彼らのお父さんは釣りが大好きで、その趣味を息子たちもつぎ、どうも弟が一番上手だったようです。「古き良きアメリカ」がそこの描かれていて、とても印象的でした。



 私たちは、街に着くと食糧を買って、公園などで自炊しながら、旅行者用のホテルに泊まっての1週間の旅でした。どの州も微妙に違っていて、美しい景観に魅了されたのです。道筋に見える農村風景の規模の大きさには圧倒されました。『こんなに大規模な農業が大都会や工業地帯の生活を支えているんだ。こんな国と、父の時代に戦争をしたのか!』と思わされたのです。こういった農村部で生産された《粉ミルク》が、戦後の日本の学童の栄養補給にと送り出されたのです。あの味は忘れることが出来ません。かつての敵軍の子弟に、ミルクや衣服を提供した度量の深さには驚かされ、感謝を覚えるのです。そういえば、これまで私の出会ってきたアメリカ人はみんな素晴らしい人格者だったのを思い出します。民間のある団体が、「LALA」と呼ばれる物資を何年も何年も送り続けてくれたのです。そんな旅の途上、田舎町のスーパーで出会った人たちの中に、メキシコ人の姿を見受けたのは、彼らが農場で働いているからなのだそうです。労働力を外国に頼る経済や社会の構造に考えさせられました。


 

 さて、このアメリカで来年、 2009年1月に、次期アメリカ大統領に選任されたオバマ氏の就任式が行われるのですが、どのような就任演説をされるのでしょうか、興味が尽きません。今から31年前、1977年1月20日、ジミー・カーターの第39代大統領への就任式が行われました。その就任演説で語った言葉の中に、三つの点が上げられていました。それは「公義を行うこと」、「あわれみ(誠実)を愛すること」、「謙遜であること」でした。就任の3年ほど前に、お母さんから受け取った忠告のことばの中に、『何がよいことなのか?』という問いかけがされて、この三点があったのだそうです。まさに、それらの忠告のことばこそ、アメリカの建国の父たちの願いでありました。メイフラワー号に乗って、新大陸に渡った彼らは、幾多の困難を経て、理想的な国家を建設しようとしたのです。

 さあ、どの様にアメリカが変わっていくのでしょうか。「変化」を強調した新大統領ですが、あまりにも大きくカーブさせてしまわないように願っております。なぜなら、そこには次女と夫と二人の孫が住んでいるからなのです。ちょっと利己的な理由でしょうか、それとも家族愛からでしょうか。とにかく肺炎の癒えた私の体に、栄養を補給してくれたLALAの粉乳に感謝を覚える私ですから、そうも願ってしまうのす。

(写真は、「メイフラワー号」、ビッグスカイ・ステイトの「モンタナ/フリー素材屋Hoshino、「ジミー・カーター大統領」です)

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自己紹介

 次男に勧められて始めた「ブログ」ですが、2007年7月から1年間休刊しました。その間、他の「ブログ」を開設したのですが、2008年7月に、名前を変えて再開しました。  父として子どもたちに、爺として孫たちに、また母や兄弟や友人たちにも、何かを語り残したいと願って、続けています。