2008年11月13日木曜日

彼の”Dream・・・夢”その実現か!


 中学生の時に、国分寺名画座で幾度となく観たのが、アメリカ映画、「エデンの東」でした。兄が二人いて弟が一人の男ばかリの四人兄弟の私にとって、映画の中の父や母や兄弟との関係が、『こんなに複雑な家族もあるのか!』と思わせられてなりませんでした。新聞の映画案内を眺めて、もう一度観たくなって再上演されている映画館まで足を運んだこともありました。それだけ強烈に印象深かった映画だったのです。映画の中で、病に倒れた父を、精一杯の愛情を込めて世話をするキャルが、父の愛情を取り戻すくだりには、何度も涙ぐんだものでした。ちろん、主人公を演じた、ジェームス・ディーンに憧れたこともありましたが。この映画の原作者は、ジョン・スタインベックでした。その彼が、『われわれが今、道で話しかけた人間が黒人だったか白人だったか思い出せないようになるまでは、奴隷制度がわれわれの社会に残した傷痕は克服されないだろう!』と言っています。




 今日日、圧倒的な得票差で次期大統領に選出されたオバマ氏の話題で持ちきりですが、あのスタインベックの言葉のように、オバマ勝利で、『今度選ばれた大統領は、白人だった黒人だったか、どっちだったかなあ?』と言う人は、どれだけいるのでしょうか。まだまだ、アメリカ社会から「奴隷制度の傷痕」が消えてなくなってしまったとはいえないようです。

 アメリカ合衆国には、連邦政府が定めた祭日が十日あリ、その一日が、一月の第3月曜日です。この日は、非暴力公民権運動を展開したキング牧師の誕生日(1月15日)を記念して、祭日に定められているのです。アフリカ系アメリカ人である彼の運動は、お母さんの働きを継いで始まったのですが、1963年8月28日に行われた、「ワシントン大行進」によって最高潮に達したと言われています。キング牧師らの呼びかけで、人種差別や人種隔離の撤廃を求める20万人以上の人々が、「ワシントン記念塔広場」に集まりました。この大群衆を前に、キング牧師が行った演説が、有名な"Do you have a dream?" でした。



『私は夢見ている。
ある日、ジョージアのレッドヒルの上で、
以前の奴隷の息子たちと以前の奴隷所有者の息子たちが、
兄弟愛というテーブルにともにつけることを。
私は夢見ている。
ある日、不正と抑圧という熱で苦しんでいる不毛の州、ミシシッピーでさえ、
自由と正義というオアシスに変わることを。
私は夢見ている。
私の4人の子どもたちがある日、肌の色ではなく、人物の内容によって判断される国に住むことを。』  
 今回の公正な選挙で選出されたオバマ氏が、スタインベックの願いとキング牧師の夢を、1つ叶えたことになりますが、ただまだゴールに達したわけではありません。彼の背景や政治信条や強調点には、さまざまな問題点があるかも知れませんが、選ばれた以上は、世界の超大国の指導者として、自国と世界の難問題に、手腕を働かせていただきたいと願ってやみません。建国の父たちの「アメリカ建国の精神」と、現代のアメリカ人の「アメリカの良心」とが、彼とスタッフを通して貫かれていくことを切に願うものです。
(写真は、「ジェームス・ディーン」、筑紫直弘氏のイラストの「オバマ次期大統領」、"Do you have a dream?"を演説した時の「キング牧師」です)

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自己紹介

 次男に勧められて始めた「ブログ」ですが、2007年7月から1年間休刊しました。その間、他の「ブログ」を開設したのですが、2008年7月に、名前を変えて再開しました。  父として子どもたちに、爺として孫たちに、また母や兄弟や友人たちにも、何かを語り残したいと願って、続けています。