2007年2月19日月曜日

春よ来い、早く来い!


 「春節」、旧正月の祝祭を、中国では、こう呼びます。伝統的な年中行事の「正月」も「盆」も、西洋暦(太陽暦)で迎えるようになった日本とはちがうのです。陰暦にしたがって迎える「春節」は、何となく遠い昔の日本を懐古させてくれます。元旦が、春の到来を知らせると言っても、日本では最も寒い真冬であることに変わらないのです。

 ところが、T市の住宅の窓から射し込んでくる陽の光は、この数週の間、日一日と強さを増して来ております。外では北風が冷たくほほを凍らせるますが、陽の当たる背中は、もうぽかぽかと暖かいのです。『もう春が、そこまで来ている!』と感じさせられおります。

 中部地方の山の中で生まれ、東京で育った身には、今年の冬ほど寒さを感じさせてくれた年はありませんでした。近くの河が完全に結氷していましたし、北風も半端ではなかったのです。気温マイナス10度の連続日でした。とうとうズボン下と雪国使用のズボンをはいてしまいました。それでも刺すような寒さを感じてなりません。東北の黒龍江省に比べたら、寒さは数段弱いのでしょうけど、河北のこの街の寒さも実にきついのです。寒さには強かった私ですが、今年は、何だか弱音を吐いてしまったようです。


 夜中に花火が上がり、爆竹の炸裂音が、住居群の壁にこだましてけたたましいのです。時計を見ますと11時をとうに過ぎております。「超市(スーパー・マーケット)」には、贈り物が山済みにされ、真っ赤な色彩の飾り物や下着がケースに山盛りにされています。「豚」が印刷された下着が、「豚」の形をした入れ物で売られていたりします。今年の干支は、日本では「猪」ですが、ここでは「豚」です。道路の路肩には屋台が出て、爆竹と花火が山済みにされて売られていました。菜市場には、黒山のような人だかりがして、大量の食料が動いております。


 「春到来」の喜びが、真紅の色彩から溢れて流れ出ています。耐える寒さが厳しければ厳しいだけ、春の訪れの喜びは大きいのだと言うことが分かります。その迎春の喜びを、みなさんが満身から表しているわけです。こういった光景の遠い記憶が、何となく思い出されてならないのです。何十年も前の日本の農村部に見られた光景が、ここにはいまだに残されているからです。


 民間伝来の春節を、街中のたたずまいと人々の表情と陽の光から感じ取れるのです。そんな私の背中に、陽の光が、『春が来た!』ことを告げているかのようです。


 『春よ来い、早く来い!』                                                (2007年2月15日)

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自己紹介

 次男に勧められて始めた「ブログ」ですが、2007年7月から1年間休刊しました。その間、他の「ブログ」を開設したのですが、2008年7月に、名前を変えて再開しました。  父として子どもたちに、爺として孫たちに、また母や兄弟や友人たちにも、何かを語り残したいと願って、続けています。