2009年5月14日木曜日

四満点の弁論大会


 先週の土曜日、午後2時から、「中華人民共和国六十周年紀念・福州大学日本語弁論大会」が、新校区の設備の整った講堂で開かれました。外国語学部、至誠学院、武夷学院から選抜された、2年生、3年生の19名の学生たちによる弁論がなされたのです。甲乙つけがたいスピーチに、中国の学生たちの意気を感じさせてもらうことができました。彼らの国や社会や家族、そしてご自分の人生に対しての見方、その視座の高さと確かさを感じさせてもらうことが出来、大いに励まされ、感動させられたのです。次代を担って行く、この国の、この時代の青年たちの主張には、やはり「熱さ」や「確かさ」があふれていました。日本の学生たちも同じように、高い志を持って、後継者としての責務を感じながら、学び備えていてくれるのだろうと確信させられたのです。時節がら、未曾有の経済危機の真っ只中で、将来が見えてこない閉塞感や不安を敏感に感じながらも、明日の夢をつないでいこうとしている彼らに、心からの拍手を送りました。ひ弱なもやしのようにではなく、踏まれ強い野の草のような逞しさを、目の輝きの中に見つけることができましたから、《満点》でした。うーん、明日の中国が楽しみです。日本も!

 いつも感じることですが、《一人》を選ぶと言うのは大変に難しいことではないでしょうか。判官贔屓(ほうがんびいき)で、実際に教えている学生たちへの私情はないことはないのですが、一人一人の熱弁を聞いていますと、私情など挟む余地のないことを思わされるのです。今回の大会に出場する二名を選ぶ役割をおおせつかったのですが、これとて同じく難しかったのですから、本選は格別だったことでしょう。それでも弁論の途中で「絶句」してしまって、『ごめんなさい!』と何人かの学生が言っていましたが、大勢の前で話をする、しかも2年、3年に満たない学びで他国語で自分の思想を表現すると言うのは、大変なのですから、出場するだけで《満点》ではないでしょうか。人前で話すことを職業にして、40年も私は働いてきましたが、テクニックはともかく、やはり最終的には「態度」が問われるのだろうと思うのです。そうしまうと、これもまた全員が《満点》でした。『よくやったよ!』と労をねぎらいたい思いでいっぱいです。

 大会終了後、審査員や来賓者の「懇親会」が、鳳凰ホテルでもたれ、出席させていただきました。日本企業で働いていらっしゃる一組のご夫妻、単身赴任されている企業人3人、福州大学・日本語学科の日本留学経験のある先生2人、日本人教師1人、私と家内、そして友人1人の10名で、テーブルを囲んで会食をしました(他にも2つのテーブルがあったそうです)。この大会は、日本の企業が出資した合弁会社の後押しがあって、5年も続いているそうです。大会の裏方として、準備運営をした学生のみなさんへのねぎらいの言葉もありました。し遂げた《達成感》が、一人一人のうちから感じられて、これもまた《満点》だったと思うのです。みなさんが、それぞれに励まされた週末の夕べでした。来年は、さらに多くの挑戦者を得て、この大会が開かれ、全学生のみなさんが励まされますように! 好好儿挑战吧!

(写真は、ブログ「りゅうけいみの福建日記」から借用した「福州大学・正門」です)

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自己紹介

 次男に勧められて始めた「ブログ」ですが、2007年7月から1年間休刊しました。その間、他の「ブログ」を開設したのですが、2008年7月に、名前を変えて再開しました。  父として子どもたちに、爺として孫たちに、また母や兄弟や友人たちにも、何かを語り残したいと願って、続けています。