2009年5月2日土曜日

たっぷりと生姜醤油で!


  「目に青葉 山時鳥(ほととぎす) 初松魚(かつお)」、宵越しの金を持たない江戸っ子は、女房を質においても、旬の鰹を食べるのを、「粋」としたのだそうですね。この「粋」を辞書を引きますと、『気性・態度・身なりがあか抜けていて、自然な色気の感じられるさま!』とあります。格好付けだったのでしょう。私たちの国は、季節の移り変わりの中に、なんともいえない微妙さが感じられるので、特別な「美意識」が養われてきたのでしょうか。そういった微妙さを目ざとく感じとる感覚を、受け継いでいるのが私たちなのかも知れません。温帯の南北に伸びた島国の地理的、気候的な環境が、こういった感覚を培ったのでしょうか。「粋」のためではなく、「鰹のたたき」を、生姜醤油で食べた味は、山猿の私にも美味なる物で、好物のひとつなのです。

 送っていただいた「福神漬け」がしまってあるのを忘れていたのですが、三日ほど前に見つけ出して、炊き立てのご飯と一緒に食べたのです。結婚以来、家内が私に付き合って病気をすることは、一度もなかったのですが、この日曜日の夕食後、風邪を引いたのでしょうか、嘔吐と下痢と頭痛で二人でダウンしてしまったのです。やっと体力が戻ってきて、『日本のものが食べたい!』と言う弱気と郷愁がよみがえってきて、探したら見つかったわけです。『うーん、この微妙な味付けが日本の味覚なんだ!』と、しきりに感心されてしまいました。『世界で最も美味しいのは中華料理だ!』と言われる国にやってきた私たちですが、たとえ駅前や生協のスーパーの漬物コーナーで売っているプラスチックの袋に入った「福神漬け」や「佃煮」や「塩辛」だとしても、独特に、いえ比類なく「日本の味覚」なのです。発酵食品で体にいいといわれて、「ザーサイ」の漬物を、近くのスーパーで家内が買ったのですが、美味しいのですが、でも微妙なところで味が違うのです。

 《微妙な味覚》の持ち主であることを再発見した、根っからの食いしん坊の私は、「大島紬(おおしまつむぎ)」の着物を着ていた父のことを思い浮かべていました。父の羽織には、「片手蔓柏」の家紋が入れてあり、どうでもいいと思われる裏地にお金をかけていたのです。見えないチラリと見え隠れするところに気配りをするのが「男の粋」、「男のお洒落」なのだということを、父は教えてくれたのですが、そんな男っ気から程遠く生きている今です。景気のいい時期に仕立てた着物なのだそうですから、相当なものなのでしょう。それを母が、私の身丈けに仕立て直してくれて、母のところにあります。これから着る機会があるのでしょうか。中日文化交流会のときに、着ていったら喜ばれるでしょうか、それとも、嫌われるでしょうか。決めかねている今であります。和服はともかく、「初鰹」は食べてみたいですが。青葉若葉の緑を見ながら、ホトトギスの啼く音を聞きながら、たっぷりと生姜醤油ベースのタレで・・・・!

(写真は、《株式会社越前屋》の「鰹」です)  

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自己紹介

 次男に勧められて始めた「ブログ」ですが、2007年7月から1年間休刊しました。その間、他の「ブログ」を開設したのですが、2008年7月に、名前を変えて再開しました。  父として子どもたちに、爺として孫たちに、また母や兄弟や友人たちにも、何かを語り残したいと願って、続けています。